Netflixのドラマ『地獄に堕ちるわよ』を観終わったので感想を書く。
細木数子という実在の人物を描いた作品として以上に、一つの重厚な人間ドラマ・物語として非常に面白かった。
物語として面白かったが故に観終わった後「どこまでが実話で、どこからが作りものだったのか」と考え込んでしまう。
なぜ「信者」と「被害者」を同時に生むことになるのか
同じ出来事であっても、何が真実で何が嘘なのかは誰にも分からない。
それを受け取る人がどう感じ、どう解釈するかによって、真実はどちらにも転んでしまう。
それは受け取る側のこれまでの人生や経験に委ねられているのだと思う。
作中の彼女は、騙され搾取される側の痛みを痛烈に知っているからこそ、
人を騙す側にも、そして心に寄り添う側にも回ることができたのではないか。
そしてその両面があることこそが、
彼女が「被害者」と「信者」を同時に生み出し続けた理由なのだと感じた。
徹底して騙す側に立ちながらも、
その奥底には騙される側だった幼い頃の自分や母親の姿があり、
苦しみ続けていたのは紛れもない本音だったはずだ。
特に幼少期や大きな借金を背負うことになった時や、
ヤクザに奴隷のように扱われていた時の経験は
おそらく想像ができないほどの苦しみだったのだと思う。
きっと見えないところで数えきれないほどの涙を流していたのだろう。
ラストシーンで数子が美乃里に伝えた
「本当の涙は人前ではなく、見えないところで流すもの」という言葉が重く響く。
「地獄に堕ちるわよ」という言葉の真意
あまり詳しくなかった自分でもさすがに知っていたこの名台詞。
そしてこのドラマのタイトルにもなっているのはただ印象的だったからではないと考える。
あれは他人へ向けた言葉であると同時に、
きっと彼女自身に言い続けていた言葉だったのではないだろうか。
「人を騙すと地獄に堕ちる」という母親の言葉が胸の中にずっと生き続けていて、
騙され、苦しみ、泥水をすするたびに彼女を強くしていった。
大きすぎる欲望は、過酷な原体験から逃れる術だったのかもしれない。
その苦痛や罪悪感を押し殺してでも欲しいものをすべて手に入れる——
そう決めた覚悟と、あまりにも大きすぎる欲望があったからこそ、彼女はあの道を突き進むことができたのだと思う。
覚悟と欲望の狭間で揺れる人間臭さを泥臭く演じきった戸田恵梨香と伊藤沙莉の演技が本当に素晴らしかった。
Netflixオリジナルドラマで実話をもとにしたものは、
はるな愛の「This is I」も観たが非常に引き込まれるものが多い。


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